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黄砂は"海の花咲か爺さん"?!
小林 拓
例年春になると黄砂が中国大陸からやってきます。この時期、車のフロントガラスにつもった黄砂をご覧になった方が多いのではないでしょうか。黄砂は砂漠の土が風によって巻き上げられ、風に乗って飛んできたものですが、その巻き上げられた場所や気象条件によっては、空高く舞い上がることもあります。この高く舞い上がった黄砂は、皆さんよくご存知の偏西風にのって日本はおろか、はるか太平洋の彼方まで飛んで行きます。
海に黄砂が降り注ぐと、黄砂に含まれている成分が海中の植物プランクトンの栄養となり、プランクトンが増えるといわれています。プランクトンは光合成によりCO2を取り込みますので、地球温暖化の観点から注目を浴びています。
また、プランクトンは魚たちの餌となり、豊かな海の生態系を支えています。砂漠から舞い上がった黄砂が、はるばる飛んで海に降り注ぐことで海の植物プランクトンを育てるとはなかなか不思議な仕組みですね。
さて、この高く舞い上がった黄砂がどのくらいの量なのか?どのくらいまで飛んで行くのか?といった疑問に答える手段として、人工衛星によるリモートセンシングという方法があります。この衛星リモートセンシングにより、遥か宇宙空間から地球の様々な情報を得ることができます。みなさんがよくテレビの天気予報でみる「ひまわり」の雲画像もこの衛星リモートセンシングによって得られたものです。
衛星リモートセンシングにより黄砂を調べるためには黄砂の素性(光学特性)を知る必要があります。それには飛んでいる黄砂を捕まえるのが一番です。富士山頂はちょうど舞い上がった黄砂が飛んで行く高さに位置しているので、この目的にぴったりなのです。
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