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富士山測候所の施設

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送電線施設




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富士山測候所には電気は来ているのでしょうか?はよく聞かれる質問です。実は、山頂まで送電線が敷設されており商用電源が供給できるようになっています。商用電源が引かれていることは、富士山測候所の研究観測拠点としての強みになっています。

商用電源が使用されるのは夏期観測(測候所の開所)期間中の約2ヶ月間だけで、それ以外の期間(冬期)は商用電源は遮断しています。通年観測をしている国立環境研究所や放射線医学総合研究所は、冬期間は大量のバッテリーを荷上げして対応しています。

標高1300m付近にある架空線の始点となる第1号柱のキュービクルが東京電力との責任分界点となっている。ここから標高約1500m付近の#73柱までの約4kmは架空線(赤色実線)で、さらに山頂までの約7kmは地下埋設ケーブル(赤色点線)で、測候所に送電している。山頂馬の背ハットから分岐して環境省公衆トイレにも(バイオトイレの動力として)給電しているほか、2014年7月からは#71柱から小山町方面へ分岐し(青色点線)、須走口五合目の駐車場、山小屋等へも送電を開始している。



電気設備は年次点検で異常の有無を確認していますが、架空送電線は降雪、風、倒木などの被害を被りやすく毎年のように補修を繰り返しています。2008年には雪害により電柱数本が倒れるなどの大きな事故が発生しました。埋設ケーブルはそういった被害は受けにくいのですが、山頂付近で人為的な原因で損傷した事例が連続して発生(2014年,2015年)しました。このほかに配電盤に入り込む小動物による短絡事故(2012年)、東電側の停電による山頂停電(2013年)などもあり、電気設備の維持には多大なコストがかかっています。

送電線施設 (1)架空送電線 3.8km
標高1300m付近にある架空線の始点となる第1号柱のキュービクル。東京電力(2016年4月からはエネット)との責任分界点です。

平成22(2010)年3月、春の嵐(落雷)でキュービクルの中の開閉器が焼損する被害を受けました。また、平成24(2012)年8月には、キュービクルに侵入したネズミが回路を短絡させ、折しも夏期観測中の測候所に12時間もの長時間停電を引き起こしました。富士山にはあらゆる種類の自然災害が待ち構えています。




標高1400b付近における架空線の点検作業。架空線は総延長約4`b。風雪害に遭いやすいため、2014年に小山町に分電するようになってからは毎年4月GW前に点検を行っています。(*)それ以前は5月に実施していました。

2008年5月の定期点検で、雪害のため12本の架空線電柱が折損または倒壊していることがわかり、復旧工事を実施しました。



2010年には落雷による倒木・電柱折損。



2012年はさらに倒木や枝が電線に。



2016年5月25日東京管区気象台技術課鈴木氏が架空送電線の点検中に、#70-#71間の幅50b区間に大量の土砂が堆積し、架空送電線が入山者に危険な状態になっているのを発見。6月15日-6月20日で緊急にブルドーザー等で整地しました。





送電線施設 (2)地中埋設ケーブル 7.2km

架空線は標高1300m付近にある第1号柱のキュービクルから標高約1500b付近の第73号柱までの約3.2`bです。73号柱からは架空から地中に埋設し、約7.8`bで山頂測候所に至ります。



埋設ケーブルは海底ケーブルと同じ仕様で直径6ab。万一の事故などによる破損を防止するため外装鉄線で保護されています。1973年に測候所の2号庁舎と3号庁舎の改築でオール電化となり消費電力が倍増したことで6.6`ボルトに更新されました。



埋設ケーブルは、ハットと呼ばれる数カ所の中継小屋を経由して接続されています。結節点となるハットは@ケーブル区間の障害発生時の切り分けA隣接避難所への降圧分電B雷サージなどの過渡的な過電圧を制限し電気機器を保護などの役割をもっています。



2017年6月28日には2.8合ハットの内部が腐食等により倒壊の恐れがあるため、天井を単管パイプで補強工事を実施しました。



2014年夏には山頂銀明館付近で、この埋設ケーブルが何かで引っ掻いたような損傷を受けて剥き出しとなっているのが発見されました。外皮は損傷していたものの、その下層の外装鉄線で食い止められていたので大事には至りませんでした。




2015年6月24日測候所開所準備の一環として、山頂で商用電源の通電試験を行うべく7.8合ハット−山頂間の絶縁抵抗を測定したところ、3相のうち1相が抵抗0オーム(接地)であることが判明。7月8日に山頂馬の背ハットーNTTハット間に埋設してある高圧6.6`ボルト送電線ケーブルの損傷箇所を特定・修復。この工事のため、測候所は予定より1週間遅れの同日午後開所しました。

ケーブル損傷の原因は、その損傷状況から前年の事故同様に重機(バックフォー)による人為的事故と推定されました。



急こう配斜面における地下埋設ケーブルの点検作業。


標高3585m付近




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