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富士山スカイラインのトンネル手前の分岐から御殿場口五合目へ向かって進み、BOAC機の墜落慰霊碑を過ぎると富士急バス「太郎坊」のバス停があります。富士山測候所への登山基地はこの左手にあります。
富士山スカイラインのトンネル。直進すると富士宮方面へ。太郎坊はこの手前で右折します。
登山シーズン中は太郎坊にもバスが停車します。
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標高1300bの太郎坊は富士山測候所への登山拠点でした。山頂への交替はここに泊まり、翌早朝に山頂へ向け出発したということです。富士山測候所を利用する研究者達は、現在もここを出発点としています。
山頂に荷上げする機材や食糧、飲料水などは、開所時は前日中にブルに積み込み、翌日早朝の出発に備えます。これらの荷物はひと夏で4dから5dにもなります。
太郎坊にはコンテナを借りて倉庫代わりにし、ヘルメットなどの登山用具、御殿場基地や山頂で使用する物品などを収納しています。
「御殿場口太郎坊の疎林は雨に煙っていた。芽吹いたばかりの木々の葉芽はしとしとと降りつづく冷雨に打たれて、ものおじしたようにふるえていた。」(新田次郎「富士山頂」より)
太郎坊は日本有数の多雨地。駿河湾や相模湾からの湿った空気が富士山付近で雲になりやすい地形のためといわれています。早稲田大学は、この一角に様々な観測機器を設置し、通年で雲水の採取などを行っています。
分割採取型児童雲水採取器は、採取部、制御部、冷蔵庫から構成され、雲発生時にはセンサーで感知し、自動で採取部のファンが回転して吸引します。試料は回収後に密栓して冷蔵保管し、研究室に持ち帰って測定しています。
富士山頂から麓の太郎坊(標高1300b)までは、測器を担いで3〜5時間程度で下山できます。東京理科大学は、富士山頂と麓での定点集中観測に伴い、雲の形成を通じたエアロゾル粒子の変質過程についてより直接的な調査を行うため、山頂から徒歩で下山しながら簡易な観測を実施しています。
太郎坊では、東京理科大学も夏期に定点集中観測を行っています。エアロゾル粒子の生成過程や輸送過程の解明しようと、3時間ごとにゴム気球でGPSゾンデを飛ばし、上空の風、気圧、気温、湿度などの気象観測を行うほか、日中は係留気球により富士山周辺の大気鉛直構造を調べています。
2017年からは、早稲田大学がドローンに軽量のセンサーや測定装置を搭載し、上空でPM2.5、オゾン等の汚染物質の測定を行っています。これまで困難とされていた 低層大気における汚染質の構造を高度別に把握することが期待されています。
さらに通年での観測も始まっています。
標高3776bの山頂から1300bの太郎坊までのバーチャルツアーはここが終点です。山頂の富士山測候所だけでなく、富士山麓の太郎坊までが研究に有効に活用されているか、おわかりいただけましたでしょうか。(おわり)
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