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鳶口(とびぐち) 『寒中の富士登山』(地學雜誌第七集第七十五卷)に「初回登山の節には五合目に至りし頃不幸にして鳶口(之は凍雪の凍りたる所に打込み攀ぢ登るに用ゆるもの)折れ鐵靴(之は普通の靴に太釘を打ちたるもの)破れたる爲め中途より下山し次回には鳶口の代に鶴嘴(工夫用のもの)を携帶し堅固なる釘十本を打ち込たる皮靴を着け折節非常の暴風雨なりしにも拘はらず遂に絶頂に達せり・・・」の記述がある。
『富士登山日記』(和田 雄治 氣象集誌. 第1輯 15巻 (1896) 1号 18-27)に挿絵入り(左)で「二合以上に於ては積雪稍深く且其表面閉ぢて堅氷の如くなるを以て「かんじき」容易に牙止せす時としては鳶口を以て上部の堅氷を粉碎し時としては鳶口を氷中に突入して登らざるを得さる所あり斯の如くして午後三時五合室に達す(海面上の高さ約二千六百米)・・・」の記述がある。
鳶口を持つ野中勝氏
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