富士山測候所を活用する会
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Home > 夏期観測2024 > 一酸化炭素, オゾン, 二酸化硫黄の夏期の長期測定と火山ガスの越冬観測

夏期観測2024

Summer Observation
富士山頂における一酸化炭素, オゾン, 二酸化硫黄の夏期の長期測定と火山ガスの越冬観測
加藤俊吾(東京都立大学)
富士山頂の測候所に一酸化炭素(CO)計、オゾン(O3)計、二酸化硫黄(SO2)計を設置し、大気中濃度の連続測定を行う。COは汚染大気輸送の指標となる。O3は汚染大気の光化学反応の進行度合いにつての指標となり、実際に大気環境に悪影響を与える物質である。また二酸化硫黄(SO2)は化石燃料燃焼以外にも火山から放出され、噴煙の影響をとらえることができる。また、富士山の火山活動を監視する防災的な目的で、夏季にガスセンサーにより登山道で火山性ガスの測定を行う。さらに、センサーおよび通信機器を蓄電池により駆動して火山性ガスの越冬モニタリングを行う。
リアルタイムモニタリング
CO, O3 濃度
2024年夏期観測 富士山頂のCO(一酸化炭素)およびO3(オゾン)濃度のリアルタイムモニタリングは終了しました。
解説
一酸化炭素(CO)は燃焼により放出されるので、汚染大気が長距離輸送されてくる指標になります。
オゾン(O3)は汚染大気から生成し、植生や人にも悪影響を及ぼし、高濃度となると光化学オキシダント(光化学スモッグ)注意報が発令されます。なお、富士山頂では上空の成層圏オゾンの影響を受けて高濃度となることもあります。
左の縦軸はCOについては1.0が1000ppb、O3については1.0が200ppbに相当します。また、COは定期的に導入しているゼロガスを差し引いたものが外気のCO濃度となります(青線の凸凹の差分がCO濃度になります)。
SO2 濃度
2024年夏期観測 富士山頂のSO2(二酸化硫黄)濃度をリアルタイムモニタリングは終了しました。
解説
二酸化硫黄(SO2)は火山ガスに含まれている有毒ガスです。
浅間山など遠方からの火山ガスの輸送をとらえることができます。
また、富士山自体から火山ガスが放出されることがあれば濃度上昇がおこるはずです。
左の縦軸は1.0が4ppbに相当します。また、定期的に導入しているゼロガスを差し引いたものが外気のSO2濃度となります(緑線の凸凹の差分がSO2濃度になります)。
プロフィール
氏名:加藤 俊吾
所属:東京都立大学
学術論文(査読あり)
1) 山脇拓実,大河内博,山本修司,山之越恵理,島田幸治郎,緒方裕子,勝見尚也,皆巳幸也,加藤俊吾,三浦和彦,戸田敬,和田龍一,竹内政樹,小林拓,土器屋由紀子,畠山史郎, 富士山体を用いた夏季自由対流圏における雲水中揮発性有機化合物の観測, 大気環境学会誌, 55, No5 (2020)
2) R. Wada, Y. Sadanaga, S. Kato, N. Katsumi, H. Okochi, Y. Iwamoto, K. Miura, H. Kobayashi, M. Kamogawa, J. Matsumoto, S. Yonemura, Y. Matsumi, M. Kajino, S. Hatakeyama, Ground-based observation of lightning-induced nitrogen oxides at a mountaintop in free troposphere,Journal of Atmospheric Chemistry, 76(2), 133-150 (2019), doi: 10.1007/s10874-019-09391-4
3) 和田龍一, 定永靖宗, 加藤俊吾, 勝見尚也, 大河内博, 岩本洋子, 三浦和彦, 小林拓, 鴨川仁, 松本淳, 米村正一郎, 松見豊, 梶野瑞王, 畠山史郎, NOx酸化物質(NOz)計測手法の開発と山岳地域における実大気への応用, 分析化学, 67巻6号, 333-340 (2018)
4) C.-F. Ou-Yang, C.-C. Chang, J.-L. Wang, K. Shimada, S. Hatakeyama, S. Kato, J.-Y. Chiu, G.-R. Sheu, N.-H. Lin, Characteristics of Summertime Volatile Organic Compounds in the Lower Free Troposphere: Background Measurements at Mt. Fuji, Aerosol and Air Quality Research, 17(12), 3037-3051, DOI: 10.4209/aaqr.2017.04.0144,(2017)
5) Shungo Kato, Yasuhiro Shiobara, Katsumi Uchiyama, Kazuhiko Miura, Hiroshi Okochi, Hiroshi Kobayashi, Shiro Hatakeyama, Atmospheric CO, O3, and SO2 Measurements at the Summit of Mt. Fuji during the Summer of 2013, Aerosol and Air Quality Research, 16, 2368-2377, DOI: 10.4209/aaqr.2015.11.0632 (2016)
6) 小川智司, 大河内博, 緒方裕子, 梅沢夏実, 三浦和彦, 加藤俊吾, 富士山体を利用した夏季自由対流圏におけるガス状水銀の観測:2014年夏季集中観測結果, 大気環境学会誌, Vol.50, No.2, 100-106 (2015)
7) 山本修司,大河内博, 緒方裕子, 名古屋俊士, 皆己幸也, 小林拓, 加藤俊吾, 2012年夏季の富士山山頂および山麓における大気中揮発性有機化合物の挙動, 大気環境学会誌, vol.49, No.1, 34-42 (2014)
8) Murata, K. & Zhang, D. Concentration of bacterial aerosols in response to synoptic weather and land‐sea breeze at a seaside site downwind of the Asian continent. J Geophys Res Atmospheres 121, 11,636-11,647 (2016).
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